今回は自然人と法人について説明してみました。
動画内では時間がなくて触れられなかったのですが、実務上、特に若い従業員が多い企業によく見られますが、契約を取る際に、法人と自然人のどちらと契約をするのかを意識しておらず、契約相手に中途半端な形で契約書や申込書を記載させたために、法人と個人、どちらと契約したのか分からなくなってしまう場合があります。
例えば、法人である「株式会社A」とその代表取締役「B」がいた場合に、法人である株式会社Aと契約したいのであれば、申込書の申込者欄には「株式会社A 代表取締役B」といった形式で記載させるのが無難です。このようにしておけば、契約の相手は「株式会社A」になります。
一方、個人であるBと契約したい場合は、申込者欄には、単に「B」と記載させれば足ります。
本当は株式会社Aと契約したかったのに、申込者欄に「B」と書かせてしまったといった場合は、株式会社Aが契約をしたと認められる特別な事情でもない限りは、契約相手は「B」個人であると考えられてしまうので注意が必要です。
なお、相手が屋号を使っている場合は、さらにややこしくなります。
例えば、「A」という名前の店を、個人事業主Bが開いている場合、前の例とは異なって、「A」は法人ではありません(専門用語で、「Aには法人格がない」と言います。)。そのため、「A」は、権利義務の帰属主体ではなく、そもそも契約の主体になることができません。
なので、この場合、例えば、申込者欄に「A」「A店長B」などと書かせたとしても、契約の相手は、「A」という店ではなく、「B」という個人であるということになります。
契約をする際は、自分(自社)がどの権利義務の帰属主体(法人or個人?)と契約を結ぶのかを意識しましょうね!